「塾長のつれづれ集」

 

月ごとに通塾生に配布している塾の通信(ATOM通信)の「塾長のつれづれ欄」では、塾長が日頃感じたことなどを自由に書いています。ここではその中の一部を「塾長のつれづれ集」として掲載しています。ご覧下さい。

 

“my”の意味は?   20185月号より)

 

“Ken used my car.” を和訳せよ。

 

4月中に、英語を学習している小・中・高あらゆる学年の生徒に上の問題を解いてもらいました。英語の学習を始めて日の浅い中1でも解けるレベルの問題です。高校生の中には「単純すぎる。ひっかけ問題なのでは?」と変に疑う生徒もいましたが、普通の問題です。

この問題を解いてもらうことで確かめたかったのは、”my”の意味が正しく身についているかどうかです。myの意味はもちろん「私の」ですが、最近myを誤った意味で覚えている学生が増えているようです。塾で生徒に解いてもらった結果、幸いなことに中2以上の生徒は全員が正解しましたが、英語を学習し始めたばかりの中1以下の学年の生徒は、逆に全員がmy carの部分を間違えました。

正解は、「ケンは私の車を使った」です。この文にある”my car”とは、この文を発信した人の車です。文脈によっては、この発言は「ケンのやつめ、俺の車を無断で使いおった」という雰囲気かもしれません。間違えた子は、決まって「ケンは自分の車を使った」と答えます。しかし、この和訳だと”my car”はケンの車になってしまい、myを間違えてとらえていることになります。逆に、「ケンは自分の車を使った」と表現したい場合は、”Ken used his car.”となります。

では、なぜ最近myを誤った意味で覚える子が多いのでしょうか。その原因は、英語本来の意味とは違った意味で使用される外来語にあると思われます。例えば、カタカナで表記した「マイカー」は「自家用車」を表し、「マイホーム」は「(借家に対して)持ち家」を表します。これらの外来語(?)は、英語本来の意味とは違って、myを「私の」ではなく「自分の」という意味で使っています。アメリカ人が「君のマイホームを見せてよ」という日本人同士の会話を聞くと、「君のマイホーム」の部分にかなりの違和感をもつことでしょう。

さらに厄介なことに、myの間違った理解を助長するようなものが近年現れました。マイナンバーです。マイナンバーは、この6文字で固有名詞になってしまったことで、マイホームよりさらに悪質かもしれません。確かに、「マイ〇〇」という単語はマイカー、マイホーム以外にも日本に溢れていますが、日本の優秀な省庁の方々がつくったものにしては、命名がイマイチなのではないかと思ってしまいます。

英語を基にした外来語が生まれることは今に始まったことではありませんが、できれば英語の意味を忠実に守った外来語であってほしいものです。外来語が本物の英語の理解に害を与える状況は避けたいところです。「それはもはや英語ではなく、日本語なんだよ」と言ってしまえばそれまでなのですが…。

 

2018年宮崎県立高校入試を解いた感想   20184月号より)

 県立高校入試は、どの科目も中学の基本的な学習内容を無理なく応用させるような問題が多く、中学内容の範囲内で実力の差が出る良問が揃っているという印象を受けます。問題を難しくする手っ取り早いやり方は、私立高校がよくやるように、高校で学習する内容を出題するというものです(中学受験でも同様の傾向は見られます)。そうすると、その知識が身についている中学生は問題が解け、知らなければ解きようがないということになります。身についている知識をどう発展させるかを問う県立型の問題に対して、知識量は豊富かどうかを問う私立型の問題。ここではどちらの方がよいとか悪いとかという話は避けますが、全国的に見ると、県立型のような基礎知識の応用のさせ方を試すような出題が増えてきています。それは、先月号で紹介した大学入試センター試験の話で触れたこととも関連する話でもあります。

 では、県立入試の問題が良問だと思わせる要素について、今年度の出題問題から見ていきます。中学生向けの問題ではありますが、宮崎西高附属中の入試問題にも似ているところがあります。小学生もぜひ考えてみて下さい。

 

○数学より

 計算は一切必要ない問題ですが、この「標本調査」の問題こそ、数学らしいの論理的な考え方がつまっており、数学を勉強する有用性を感じることができる問題です。

 

 

1. 千里さんは、自分の中学校の全校生徒240人について、最近1か月間のメディア利用の実態を調べるために、40人を対象に標本調査をおこなうことにした。

 (2) 千里さんは次のようなアンケートを考えた。しかし、これらのACは、適切ではないという意見があげられた。適切でない理由はそれぞれどのようなものか。説明しなさい。

A あなたは、インターネットを長時間利用しますか。

    1 利用する    2 利用しない    3 どちらともいえない

  B インターネットを使って、あなたが最もよく行うことは何ですか。

    1 メールをする    2 ゲームをする    3 天気予報を見る

  C 新聞やニュース番組を見ることは、社会科のテストに役立ちます。あなたは、新聞やニュース番組を見るべきだと思いますか。

    1 思う    2 思わない    3 どちらともいえない

 

 

 それぞれのアンケートのどこがまずいか分かりますか。A, B, Cそれぞれについてヒントなしで考えてみて下さい。

 

今年のセンター試験の中で印象に残っている問題〜英語(筆記)第5問   20182月号より)

 第5問は、例年、小説やメールのやり取り、映画に対する一般人の批評など、カジュアルな文章の読解問題が出題されてきました。

今年の問題は、地球外生命体を求めて探検する主人公の日誌の読解問題でした。私にとってこの問題のテーマは、色々な意味で「先入観」でした。そもそも、前述の「地球外生命体」という表現がすでに間違っています。というのも、探索をしているのがどうも人間ではなさそうだ、ということを匂わせる記述が終盤になって現れます。その記述を見たとき、「センターにしてやられた…」と感じるとともに、先入観の怖さを再認識しました(それをある学生に話したところ、「そんなこと気にすることないっすよ。初めから宇宙人が探索しているなんて想像できる方がどうかしている」と慰めてくれました…笑)。そして、何より私が驚いたのが、この探検が失敗に終わったということです。結末部の失敗のシーンの英文は以下の通りです。

 

(それまでのあらすじ)主人公の探検家は、その惑星に降り立って以来、海を泳ぐ魚のような生物は見つけるものの、その星の文明を創造し支えているであろう生物は発見できずにいた。そして、帰還の日が来た。

Just as we were leaving the planet, we saw a lot of strange creatures on the dry areas. What a shock! We, creatures living in liquid, had never imagined creatures like them! Floating safely in our ship’s liquid, we realized that our common sense had led us to the wrong conclusion.

【概訳】その惑星からちょうど飛びたとうとしていたそのとき、我々は乾燥地帯に多くの奇妙な生物がいるのを確認した。なんてことだ!我々は液体中で暮らす生き物なので、そんな場所で生きている生物なんて想像したことすらない!宇宙船内の液体中を漂いながら、我々は、自分の持っている常識が誤った結論を導いたことを悟った。」

 

 つまり、この探検家自身も常識(common senseという先入観によって過ちを犯してしまうことになったのです。そして、上述のように、私は何よりも物語文が失敗に終わったことに驚きました。というのも、これまでセンター試験が出題してきた物語文は失敗で結ぶといったものがなかったからです。ほとんどの文章は、心を入れ替えるきっかけになった出来事があったり、苦労を乗り越え感動的な結末が待っていたり、といった、要するに「いい話」でした。例えば、以下のような具合です。

2017:「少年があるとき突然猫になり、自分の外側から自分の態度を見つめる。猫の目から見た自分は、母親の問いかけに不愛想に返事をし、不機嫌そうな表情をしてスマホをいじっているばかり。そんなひどい態度を取る自分を省みて心を入れ替える」

2005:「男子大学生の主人公は、中学生が参加するキャンプの助手を務めていた。参加者の一人の小柄な男子中学生は、他の参加者から常に離れたところにいて仲間に入ることができずにいた。主人公は、気後れしながらもその男の子に思い切って声をかけ、その後も男の子が一人でいるのを確認しては積極的に声をかけ続けたことで、男の子は少しずつイベントに参加するようになった。キャンプが終わって5年後、その男の子から主人公のもとへ、自分の人生を変えてくれたことに対する感謝の手紙が届いた」

2001:「ピアノの才能に恵まれた女の子がいた。小さい頃は物おじせずに演奏できていたのに、有名音楽学校に入学してからは、上手に演奏しなければならないというプレッシャーから演奏のときに不安を感じるようになった。あるとき行われた演奏会で、女の子は見事な演奏をやってのけ、友人に祝福されると同時に、素敵なボーイフレンドとの出会いが待っていた」

こういった過去の出題を見てきただけに、失敗に終わったと言える本問は、今年のセンター全科目の中で何よりも印象に残りました。

 

「部活動の盛んな宮崎県」   20175月号より)

昨年の文部科学省の調査で、中学校および高校での部活動(運動部)に関する様々なデータが示されました。調査結果の中で、土日の部活動の時間については、宮崎日日新聞にも大きく取り上げられました。

まずは、1日あたりの部活動の時間について。宮崎県の男子は、47都道府県で6位の1日あたり152分(全国平均は134分、1位は千葉県の159分)。女子は、12位の147分(全国平均は135分、1位は千葉県の163分)。男女ともに全国平均より1割程度長く部活動をやっているということになり、部活動の時間は全国的に見て長いと言えます。

特記すべきは、土日の部活動の時間について。宮崎県の男子は、全国1位の241分(全国平均は183分、2位は奈良県の228分)。女子は、3位の229分(全国平均は188分、1位は千葉県の232分)。平日を含めた1日あたりの平均と比較すると、土日に突出して長いのは明らかです。このことを良いように捉えると、平日はバランスよく勉強と部活をやって、休日にはしっかりと運動をしようという県民性が表れていると言えます。確かに、宮崎は東京と比較すると休日のスポーツ活動が盛んな気がします。様々なところで何かしらのスポーツイベントが行われています。

部活動については、様々な問題点も指摘されています。その一つが、この調査結果が出る以前から言われているように、学校の先生たちが部活動の顧問として長い労働時間を課せられるということです。同じ調査の中で明らかになったことですが、教師が希望すれば顧問となることを原則とするのではなく、教師全員が何かしらの部活動の顧問に当たることを原則としている自治体が87.5%に上りました(中学校について)。ただし、そのような状況にあっても、学校の先生たちに行ったアンケートでは、先生たちの9割近くは部活動を生徒と一緒にやることにやりがいを感じていると答えています。顧問の先生たちの好意に報いるためにも、熱の入った練習をしていきたいですね。

さて、普段の部活動の集大成として、5月末には高校総体が行われます。長い活動時間から得られたものを、皆さんには存分に発揮してもらいたいと思います。塾長も、大会当日は様々な競技の観戦に行く予定です。普段の勉強している姿とは違った、一生懸命なところを見ることができたらと楽しみにしています。

 

「オバマ氏の退任演説より」   20179月号より)

次の英文は、20171月に行われたアメリカ前大統領バラク・オバマ氏による大統領退任の演説の一部です。この部分では、オバマ前大統領が自身の2人の娘(マリアとサーシャ)に向けて発言しています。その内容を確認してみましょう。

 

Maria and Sasha, under the strangest of circumstances, you have become two amazing young women. You are smart and you are beautiful, but more importantly, you are kind and you are thoughtful and you are full of passion. You wore the burden of years in the spotlight so easily. Of all that I’ve done in my life, I am most proud to be your dad.

 

アメリカ人は、相手のよいところに対しては最大限に褒め称え、感謝の気持ちは率直に伝えます(逆に、悪いところもはっきりと伝えます)。そういったアメリカ人の特徴が大いに表れているスピーチと言えるでしょう。特に顕著なのが最後の文です。

最後の文:「私がこれまでにやってきたことの中で、君たちの父親であることを一番誇りに思っています。」

胸温まる言葉ですね。私も、通塾生に対して、「I am proud to be your teacher.」と言えるようになりたいものです。最後にお互いにこのような気持ちになれるように、一緒に頑張りましょう。

 

『宮崎の変化』  201610月号より)

私は今年の春、約15年ぶりに宮崎市民に戻りました。その間東京や福岡に住んでいましたが、しばらく離れていただけに、ちょっとした変化でも目につきます。その中で私が衝撃を受けたものには、以下のようなものがあります。

 

第1位 オーシャンドーム閉鎖:2007年

第2位 イオン宮崎ショッピングセンター開業(現在の「イオンモール宮崎」):2005年

第3位 フェニックスボウル営業終了:2015年

第4位 寿屋百貨店閉店、カリーノ宮崎として再開店:2002年と2003年

第5位 宮崎駅周辺の再開発:継続中

 

第1位のオーシャンドーム閉鎖は、とてもショッキングなニュースでした。私が宮崎にいた時期から存続を危ぶむ声は上がっていましたが、何とか続いてほしいと願ったものです。オープンして1年目、私がまだランドセルを背負っていたとき、同級生5人と遊びに行ったことがあります。その中に、恥ずかしながら私の初恋の女の子がいました。ドームの迫力により、ほとんど鼻の下を伸ばす余裕はありませんでしたが。結局その女の子とは最初で最後のデート(?)となりました。いずれにしても思い出溢れる場所です。

第2位のイオンモール宮崎は、言わずもがな、その広大さと圧倒的な店舗数、そして巨大なシネコンの存在に驚かされました。

第3位のフェニックスボウルは、今年3月に隣接する動物園に行ったときに営業していないことに気づきました。かつて動物園では飽き足らずに、ボウリングや卓球、ビリヤードをしに行ったものです。今や更地のその場所を見ると、当時を追憶してしまいます。

第4位の寿屋閉店は、時代の象徴と言えるのではないかと思います。小売百貨店が厳しい状況なのは、その後再オープンした現カリーノに入っている店舗を見ても明らかでしょう。近所の山形屋、ボンベルタには引き続き頑張ってもらいたいところです。

第5位の宮崎駅。宮崎の一つの顔と言える場所でしょう。新たに商業施設入りの巨大な駅ビルを建てる計画があるようで、私自身はとても楽しみにしています。鉄道好きとしても…。大分駅には負けたくないですし…(笑)。

 

『宮崎の「いっちゃが精神」』   20172月号より)

宮崎の方言に「いっちゃが」があります。「いっちゃが」は、「良い」に「○○ちゃ」という宮崎弁独特の語尾をつけた形と考えられます。相手を許容し受け入れるときに使用することが多いようです。

「いっちゃが」は宮崎人の寛容さを表していると言えるでしょう。この方言は、田舎でしか感じることができない精神を表しているように思います。東京では、待ち合わせ時刻や電車の乗換時刻に追われて、皆がどこかせかせかしていて心のゆとりが持てない雰囲気があります。その雰囲気が影響したのか、私は東京に行ってから歩くスピードが1.5倍くらい速くなりました(現在はまた元に戻りました)。そういう状況だと、他人に対して大らかな気持ちもなかなか持ちづらいものです。しかしながら、宮崎は「いっちゃが」に代表されるような広い心を持ちやすい環境をつくりだします。

ATOM指導会のオープンに向けて準備している頃の話です。ATOM指導会の教室の両隣には別の事務所が入っていますが、看板の取付工事の際にこれらの事務所の駐車場を使う必要がありました。使用の許可を乞いに行ったところ、代表者は「いっちゃがいっちゃが」と快くOKしてくれ、順調に工事を終えることができました。その後、逆にATOM指導会の駐車場を使いたいと何度かお願いされたことがあります。そんなとき私は「いっちゃがいっちゃが」とは言わないまでも、可能な限り快く貸してあげるようにしています。その都度、「これこそ宮崎の『いっちゃが精神』だなぁ」と心の中で思っています。

総合的に見て、私は寛容であることはよいことだと思っています。この宮崎の心は持ち続けていきたいところです。かと言って、通塾生に甘いということにはなりませんので、通塾生は覚悟して下さい。

 

『勉強は量より質?質より量?』  20167月号より)

「勉強は量より質が大切」という話をよく聞きます。勉強していても、集中できていなければ、つまり質が悪ければ、効果は薄いでしょう。それは的を射た話であると言えます。ただ、私の経験上の話ですが、私は勉強には何よりも量が大切だと思っています。

どんなに質がよくても、量が少なければ、実力を伸ばすことはできません。そもそも、意識して質だけ上げようとしても、改善するものでもありません。重要なのは多少無理をしてでも机に向かうことであり、量を確保することによって少しずつ集中する姿勢が身についてくるものだと思っています。大抵の学生にとって、勉強には苦痛が伴うものです。「勉強」の言葉の由来が「強いて(無理して)勉めること」であるように、楽をしても何ともならないことが、文字からもにじみ出ています。つまり、初めはイヤイヤであったとしても、量を確保することを無心に続け、そのことに違和感を持つことがなくなれば、本来の勉強に近づくことでしょう。

陸上の趣味のない人にとって、運動のために長距離を走るのは辛いことです。ただ、きついのを我慢して走り続けると、妙な気持ちよさが生まれるものです。勉強においても、そういったランナーズハイの状態になることができれば、もはやそこに「質」という問題は見当たらなくなっているはずです。通塾生の一人でも多くの生徒が、この達成感を味わうことができることを願っています。

 

『目的と手段をはき違えるな』  20171月号より)

私は、去年3月に宮崎に移住するまで東京の学習塾に勤めていました。最初はアルバイトとして勤め始めましたが、勤務し始めてから約半年後に、社長から「社員にならないか」と誘ってもらい、その後しばらく社員として勤務しました。

社長は「開成中・高→東京大学」という絵に描いたようなエリート街道を歩んできた人ですが、一度怒ると社員だけでなく他の幹部も恐怖を感じるほどの修羅場(?)を作り出す人でもありました。ただ、たまに激高して手がつけられなくなるとき以外は、常に他の社員のことを見てどんどん話しかけ、困っていることを聞き出しては解決策を一緒に考える、という人柄でした。そんな社長を慕う部下は私以外にも多くいて、その人柄は同時に会社をどんどん大きくしていくことにもつながりました。

その社長が常々部下に対して言っていたのが、上の言葉です。捉え方は多様でしょうが、私自身は「行動(手段)そのものを目的だと考えて動いても、上は目指せない」というように考えるようにしています。これは勉強に対しても重要な提言をしてくれる言葉でしょう。勉強に当てはめて言うと、「勉強の目的は学力を上げることであり、勉強すること(宿題・課題をやること等)は手段に過ぎない。勉強することを目的と考え、ただ先生に言われたからやるというのでは、学力向上にはつながらない」ということになるでしょうか。学力向上が目的と考えるなら、宿題の取り組み方も変わってくるでしょう。

社長は、私が退社する約2年前に41歳という若さで亡くなりました。その後しばらくの間、会社内には言い表しようのない虚無感が残りましたが、社長が作り上げてくれた会社の雰囲気と精神のおかげで、今なお更なる発展を続けることができています。私自身、この言葉を大切にしていますが、アトム指導会に在籍している生徒にも、是非その言葉の意味を理解してもらいたいと思います。実際には、アトム指導会に通っている大学受験生は皆、現時点において目的と手段のすみ分けがしっかりできていると確信しています。これから先も、この言葉を忘れずに生きていってもらいたいと思います。

 

『熊本地震』  20165月号より)

先日の熊本地震では、各方面で多大な被害が出ました。地震により命を落とした方も多くいらっしゃいます。亡くなった方々や遺族の方々の無念さを考えると、とても胸が痛みます。

熊本は私の出身地です。出生からの3年間を熊本で過ごしました。私自身が熊本に居住していた頃の記憶はありませんが、境内をよく散歩した熊本城をはじめ、私のお宮参りで参拝した出水神社(水前寺公園内)も、大きな被害を受けました。私の祖母のゆかりの地が熊本なので、親戚も多く熊本に住んでおり、物心ついた後もしばしば熊本を訪れていました。ATOM指導会開塾直前の3月半ばにも、南阿蘇村の俵山を訪れ、阿蘇中岳や彼方まで広がる雄大な外輪山の眺めを臨んできました。「延岡→高千穂→高森峠→南阿蘇」というコースは、とてもゆっくりとできるドライブコースで、時々車を走らせています。今年のGWも、当初はこのコースを利用して南阿蘇の温泉に行く予定でしたが、地震によって甚大な被害を受け、予約した旅館はキャンセルせざるを得ませんでした。

根っからの熊本人の祖母は去年亡くなりましたが、その祖母がよく言っていたのが、「熊本人は根が強くて自分の意志を曲げない人が多い。昔から水害に苦しめられてきて、ちょっとした天災なんかではくじけない」ということです。確かに、私の親戚のことを考えても、そんな人が多いような…。全体的にゆったりしている宮崎人とは正反対のタイプなのかもしれません。昭和28年の白川の大氾濫では、熊本市中心部は水深が3メートルになるまで水没し、数百名の死者を出しました。今年は平成28年、というのも偶然でしょうが、熊本の方々には何とか逆境を乗り越えて復興を果たしてもらいたいと願っています。

 

『今年の漢字』  201612月号より)

毎年12月になると楽しみにしているのが「今年の漢字」の発表です。その年の世相なりを漢字一文字で表すと何が相応しいか、ということを決めるものです。漢検協会が漢字を応募し、国民が投票したものの中から最も得票の多かったものがその年の漢字になります。選ばれた漢字は、毎年12月半ばに京都の清水寺で披露されます。皆さんもニュースなどで一度は見たことがあるのではないかと思います。

私は、以前は「今年の漢字」についてあまり興味はなかったのですが、東日本大震災の起こった2011年の漢字が「絆」と発表されて以降、毎年注目するようになりました。2011年に起こった出来事には、震災以外にも「なでしこジャパンがサッカー女子ワールドカップ優勝」「地デジへの完全移行」「九州新幹線運行開始」ということがありました。宮崎の2011年はと言うと、家畜間で鳥インフルエンザが大流行したり、新燃岳が噴火したりといったことが起こりました。そんな中で、「東日本大震災を契機に人と人とのつながりの大切さを感じた」という理由で、「絆」という漢字が最も多くの票を得ました。私は夜のニュースでこの漢字が選ばれたことを知り、改めて「日本って温かくてよい国だなぁ」と感動したものです。2011年までに選ばれた漢字を見ると、あまり前向きなものはありませんでした。そのことからくる意外性が、より感動を強めたのかもしれません。

 

さて、今年の漢字は何になるでしょうか。ウェブサイトやテレビ番組での予想を見ていると、「薬」(芸能界を中心に禁止薬物使用が相次いだ)や「金」(オリンピックでメダル数が過去最多だった)などが挙がっていました。私は、今年は様々な選挙が世の中で話題になったということで、「選」という字が有力ではないかと思っています。夏にあった参議院議員選では選挙権の年齢引き下げが話題になりました。その他にも東京都知事選での小池氏の圧勝、アメリカ大統領選でのトランプ氏の大どんでん返しなど、印象的というか衝撃的なものすらありました。我ながら今年はよい線を行っているのではないかと自負しているところですが、果たしてどうでしょう…。

皆さんもこのように予想してみたら如何でしょうか。12月頭まで応募していると思うので、投票してみてもよいかと思います。発表当日に少しドキドキすることができるかもしれません。

 

『トイレは洋式にすべき?和式も残すべき?  20173月号より)

1110日は「いいトイレの日」とのこと。去年の「いいトイレの日」、つまり20161110日に文部科学省が全国の公立小中学校のトイレについての調査結果を発表しました。ニュースにもなっていたので、調査のことや結果についてご存知の方もいらっしゃると思います。

調査の目的は、学校のトイレ事情を調査するためで、洋式と和式の割合を調べることがメインテーマになっています。調査の動機は、文部科学省の担当者曰く「学校のトイレの悪いイメージをよく聞くので、全国的な調査に踏み切った」というものです。全国平均に加えて、都道府県別更には市区町村別の数字も出ており、自治体によって大きな差があることが分かりました。

まず目を引いた調査結果が、47都道府県の洋便器率(または和便器率)です。洋式の割合が最も高い(和式の割合が最も低い)のが神奈川県の58.4%で、逆に洋式の割合が最も低い(和式の割合が最も高い)のが山口県の26.7%となっていました(全国平均は43.3%)。我らが宮崎県は…。洋便器率31.4%で、和式の割合が6番目に高いという結果でした。私が小中学生だった頃はというと、男子便所において洋式は全くなかったように記憶しています(水洗ですらないものもあったような…)。その頃からすると、31.4%というのも随分高くなったという感想も持ち得ますが、家庭の多くが洋式を採用している現状を考えると、31.4はともかく全国平均すら低いようにも感じます。

また、この調査ではもう一つだけ各自治体に対して行っている質問があります(市町村単位)。それは「新設・改設するトイレについての各自治体の整備方針」で、各自治体が五択の質問に答えています。その5つの選択肢は以下の通りです。

 

@洋便器率90%以上  A洋便器率80%以上  B洋便器率60%以上  C洋便器率約50%  Dその他

 

@〜Bのように、主に洋式を設置していく方針と答えた自治体が85%を超えました。一方で、宮崎市の返答はCということなので、宮崎市内の和便器率はなかなか減少しないかもしれません。なお、同じ宮崎県内でも、都城市や延岡市は@と答えています。近隣の地域においても、整備方針が大きく異なることは往々にして起こっているようです。皆さんはこれらの結果をどのように見ますか?

ところで、ATOM指導会が使用している物件は、入居する時点で和式トイレでした。子供たちが使用することを考えると、和式のままはよくないと考え、改修工事をしました。このようなことを一度考えていただけに、今回の調査結果に対して興味を持ったという経緯があります。